
取材日記:酒飲みの連帯感
2022年2月
担当:プロデューサー山田
吉田類さんの「にっぽん百低山」(NHK総合毎週水曜日昼12時20分~43分)を担当しています。山男・吉田類との最初の出会いは、2017年に放送したNHK-BSP「北アルプス人気の山小屋生中継」でした。この番組の出演者として、吉田類さんに片道7時間以上、数ある山小屋の中でも最も道中が過酷といわれる船窪小屋に登ってもらいました。吉田類さんといえばBS-TBSの「酒場放浪記」のイメージが強いですが、実は40代の頃は日本各地の高山にテントを背負って登っていた本格的な山男でもあったのです。
その後も山の特番、最近は「にっぽん百低山」のロケで、吉田類さんと頻繁に山登りに行くようになりました。登山道ではよく一般の登山客とすれ違います。その人たちのリアクションが面白いのです。吉田類さんと分かると、盃を口に注ぐ仕草をしながら、「これの人?」とか「今日はどこでこれするの?」と話しかけてきます。吉田類さんもそんな人たちに笑顔で応えています。この気安さは何なのか。何かと評判の悪い酔っ払いですが、楽しいお酒も多いはず。声をかけてくる人は、吉田類さんを酒飲み仲間と思っているのでしょう。登山道では見知らぬ人どうしでもすれ違った時に「こんにちは」と声をかけあいます。同じ山に登った者どうしの連帯感を感じるこの山独特の習慣が、吉田類さんに気軽に声をかけさせているのかもしれません。
「にっぽん百低山」が始まってから間もなく3年、すれ違う人たちの反応が初めは「類さん、放浪記見てますよ~」だったのが、徐々に「百低山見てますよ~」が増えてきたのは、うれしいことです。